~コルセット使用時の注意点~
コルセットの装着は、腰痛を緩和させる上でとても有効な治療法になります。
しかし、コルセットは痛みを緩和することができても、腰痛を根本から直してくれるものではないということは覚えておかなければいけません。痛みを感じにくく、安心感が得られるからといつまでも使用を続けていると、筋力の低下を招く恐れがあります。また装着の仕方や使い方を誤るとさらに腰を痛めることにもなってしまいます。
ここでは、コルセットを使用する際に気を付けたいポイントについて解説します。
コルセット使用時の注意点その1 正しく装着する
コルセット装着時には、気をつけなければいけないことがいくつかありますが、まず大切になるのが装着する方法です。
重力の影響で、腰には上半身の重みがかかっています。そのため、腰に負担をかけないためには、お腹を引っ込め、背骨をぐっと引き上げることが大切になります。お腹つまり腹筋が緩んでいるような状態は、背骨が曲がり、体が沈んで腰に上半身の重みがかかるため、コルセットを装着するときも、腹圧をかけて、体を引き上げることを意識する必要があります。コルセットは、体が引き上げられた体勢をサポートしてくれるものになりますので、装着するときの体勢はとても重要になります。
では具体的にどうやって装着すればいいのでしょうか?体勢としては寝転がった状態がベストです。自然とお腹がへこんだ状態になるため、正しく装着ができるようになるからです。ただ状況によっては寝転がるのが難しいこともありますよね。そんなときは、もちろん立って装着をすることも可能です。ただし、お腹をへこませ、体を引き上げた状態で装着することを忘れないようにしましょう。
コルセット使用時の注意点その2 腰の痛みが深刻なときはずっと装着する
腰の痛みが深刻な場合、コルセットは寝ているとき以外、ずっと装着するのが基本です。またコルセットは、目覚めて起き上がる前に、寝た状態で着けることをおすすめします。寝ている状態で着けて、その後横を向いて起き上がるようにします。布団で寝ている場合は、コルセットを装着し、横向きになった後、さらに四つん這いになって手をついて起き上がると、腰に負担がかからずにすみます。痛みが強い場合は、ちょっとした動きにも気を配りたいものです。
ただし症状が軽くなってきたらコルセットを着ける時間を少しずつ短くしていきます。もちろん、長時間の立ち仕事など腰に負担がかかるような状況下では、コルセットの装着が必要になります。症状の改善具合に応じて、装着する時間や状況を判断すると良いでしょう。
コルセット使用時の注意点その3 コルセットに頼りすぎない
コルセットは腰の痛みに効果的ではありますが、頼りすぎてもいけません。そもそも人間の体には、天然のコルセットとも言える筋肉があり、日々私たちの体を支えてくれています。ところが、痛みが緩和されるからと、コルセットに頼りすぎると、体を支えるために使っていた筋力が使われにくくなり、衰えてしまいます。腰痛が改善されたら、軽めのストレッチやトレーニングで筋力アップを図ることも、腰痛を根本から治す上で必要になります。
まとめ
コルセットとは、胸椎から骨盤にかけての体幹部を保持する治療用装具です。硬いタイプと柔らかいタイプがあり症状に応じて使い分ける必要があります。またコルセットを装着することで期待できる効果は、大きく分けて次の3つがあります。
可動性を制限して固定する効果
前かがみになったり、腰をひねったりといった体の動きを制限することで、動くことによって生じる痛みを防ぎます。
疼痛(とうつう)の緩和
コルセットは、痛みが生じる部分をしっかり固定する上、痛みがある場所に軽い圧迫を加えることで痛みを緩和させる効果があり、痛みによって生じるつらさも抑えてくれます。
安心感
コルセットでしっかり腰が固定され、痛みが緩和されると、身体面だけでなく、精神的にも腰痛への不安が少なくなります。コルセットは、気持ちの面でも快適に日常生活を送れるようサポートしてくれるのです。
しかし、コルセットには痛みの緩和といった効果がある一方、使用する際には注意しなければいけないこともあります。何より大切なのは、装着の仕方です。コルセットを正しく装着する際のポイントは、「お腹を引っ込め、体を引き上げた状態で装着すること」です。寝転がると、自然にそうした理想の体勢になるため、ベッドや布団から起き上がる前に装着することをおすすめします。もちろん立って着けることも可能ですが、必ずポイントは抑えて装着するようにしてください。
またコルセットが楽だからといって、ずっと頼りっぱなしになるのはよくありません。腰の痛みが深刻なときは、寝ているとき以外ずっと装着する必要がありますが、症状が改善されてきたら、少しずつ装着する時間を減らし、腰に負担のかからないストレッチや筋力トレーニングも取り入れるように心がけましょう。「なぜ腰痛は起こるの?原因と対策について考えよう!」では、簡単にできる腰痛体操をご紹介していますので、そちらもぜひ参考にしてみてください。