~腰痛を予防&軽減するには? 手軽にできる腰痛体操をご紹介~
腰痛には、原因を特定できる「特異的腰痛」と原因を特定できない「非特異的腰痛」があることを、前回お話ししました。特に原因を特定できない「特異的腰痛」は、対処法がないのかと思ってしまいますが、そんなことはありません。「非特異的腰痛」には3つの要因が関係していると考えられています。一つ目は姿勢の悪さ、二つ目は同じ動作の繰り返しや同じ体勢での長時間作業、そして3つ目はストレスです。特に姿勢の悪さは、腰痛の大きな要因となっており、意識して姿勢を正すことで腰のだるさや痛みを多少なりとも緩和することができます。
まずは正しい姿勢を心がけよう!
重力の影響で、腰には上半身の重みがかかっています。そのため、腰に負担をかけないためには、お腹を引っ込め、背骨をぐっと引き上げることが大切になります。お腹つまり腹筋が緩んでいるような状態は、背骨が曲がり、体が沈んで腰に上半身の重みがかかるためNGです!腹筋に力を入れ、お腹を背骨にぐっと近づけるようにして体を上げると、腰への負担が軽くなります。
また腰に負担がかかりやすいのは、立っているときよりも、座っているときの状態です。人は座ったときの方が、姿勢が崩れやすく腰に負担がかかってしまうため、腰痛になりやすいと言われています。胡坐をかくのも腰には良くありません。このことを念頭に置いて、まずは正しい座り方と立ち方について考えてみましょう。日常生活ですぐに実践できるので、腰痛持ちの人はぜひ姿勢から改善してみてください。
正しい座り方
まず椅子に座ったときは、背骨と首がしっかり伸びていることを確認しましょう。 背骨が伸びている状態を保つには、腹筋が緩まないようにすることが重要。「お腹を背骨に近づけて体を上げる」ことを意識してみてください。もちろん、ソファや車の座席に座るときも同じです。座ると思わずリラックスして腹筋を緩めてしまいがちですが、腹筋に少し力を入れて姿勢を正すだけでも、腰痛を改善する効果が期待できます。
どうしても姿勢が悪くなりがちな人は、座るとき、足元に台を置いて、膝頭が腿の付け根より高くなるようにしてみると良いでしょう。また椅子に浅く腰掛けるのも良くありません。座るときは、椅子に深く腰を掛けて、背もたれに背中をつけるようにすると、腰への負担を軽減することができます。
正しい立ち方
両足に均等に体重がかかり、背骨と頭がまっすぐ伸びている状態が、正しい立ち姿勢です。立つときは、足裏全体で床を踏みしめるようにします。そしてここでも重要なポイントになるのが腹筋!座るときと同じように、腹筋が緩まないよう意識し、下腹が前に出ないように気をつけましょう。
腰痛になりやすい人は体が硬い?!簡単にできるおすすめストレッチ&トレーニング
実は、腰痛になりやすい人は、体が硬い人が多いと言われています。また筋力が低下していることも腰痛を引き起こす要因の一つ。普段から定期的に腰痛体操やストレッチをして体を柔らかくするように心がけましょう。また腰痛が改善されてきたら、適度に筋力をつけることも必要になります。もちろん、筋トレは、体に負荷をかけないように行ってください。
腰痛体操やストレッチ、筋トレと言っても、時間をかけて入念に行う必要はありません。どちらかと言えば、空いた時間に気軽にできるものがおすすめ。大切なのは毎日継続して行うことです。
簡単にできるものとしては、次の3つがあります。
膝を抱える
仰向けになって片膝を両手でかかえ、胸の中央の方にひきつけます。終わったら反対側も同じようにやりましょう。両膝を両手でかかえ、胸の方にひきつける動きも取り入れると良いですね。
半身ひねり
両手を広げ、片ひざを曲げて持ち上げ、伸ばしている足の方向に倒します。このとき、両肩が床についているか確認してください。終わったら反対側も同じようにやってみましょう。
背中の隙間をなくす動き
まずは仰向けになります。すると背中部分に手が入るほどの隙間ができています。この隙間をなくすような動きをしてみてください。腹筋に力を入れて、お腹を床に近づけるような要領でやると、隙間がなくなります。この動きは、寝転がっても良いですし、壁に背中をつけ、立った状態で行うこともできます。仕事の合間にもできそうですね!
特に③の動きは腹筋が収縮することで、お腹周りの筋肉が鍛えられるのでおすすめです。お伝えしたように、座っているときも、立っているときも腹筋を緩ませないことが、腰痛予防における大切なポイントの一つ!意識しておかないとつい緩んでしまう腹筋は、こうしたちょっとした動きで鍛えることができますので、腰痛にお悩みの方はぜひ試してみてください。
まとめ
腰痛と一口に言っても、痛みが起きる場所や痛みの程度などその症状は実にさまざま。特に背骨の腰椎の部分は、柔軟に動ける分、構造的には弱いので、悪い姿勢や無理な動きで痛めやすく注意が必要です。ただ腰痛が起こるのは一箇所ではなく、背中側の肋骨の下、そしてお尻までが腰痛の対象となります。しかも腰は骨盤、筋肉、靭帯などさまざまな組織や神経が多く集まっており、どこが痛みの原因になってもおかしくありません。
そのため、腰痛は、腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症のように原因を特定できる「特異的腰痛」もある一方、レントゲンやMRIなどの画像検査でも原因が特定できないことがあります。原因を特定できない腰痛は「非特異的腰痛」と呼ばれ、腰痛全体の85%を占めると言われています。この非特異的腰痛は、原因を明確に特定できないものの、「姿勢の悪さ」「同じ動作の繰り返しや長時間同じ体勢での作業」「ストレス」が大きく関わっていると考えられています。なかでも、姿勢は重要です。基本的に腰には上半身の重みがかかるため、腰に負担をかけないためには、お腹を引っ込め、背骨をぐっと引き上げることが大切になります。座っているときも立っているときも、腹筋に力を入れ、お腹を背骨に近づけるようにして体を上げることを意識するようにしてみてください。
また腰痛は体が硬い人や、筋力が低下している人に起こりやすいとも言われています。そのため、普段から隙間時間に、簡単な腰痛体操やストレッチ、トレーニングで足腰を伸ばしたり、腹筋を鍛えたりすることをおすすめします。腰痛が改善してきたら、体に負荷をかけない方法で、体全体の筋力アップを図ることも、腰痛予防や痛みの軽減につながっていきます。
ほかにも腰の痛みを緩和させる方法としては、コルセットを利用する方法があります。コルセットは、可動できる範囲を制限することで腰の痛みを抑えることが可能になり、腰の症状によっては、コルセットの利用が推奨されるケースもあります。次のコラムでは、コルセットの役割や効果について、詳しくお話ししますので、そちらもぜひ腰痛対策の参考にしてください。